玄米とは
玄米とは、稲から収穫した籾(もみ)から「籾殻(もみがら)」だけを取り除いた状態のお米のことで、収穫されてから精米する前の最も自然に近い状態のお米です。 玄米の粒を見ると、外側に薄い茶色の部分と、内側に白い部分、そして先端に小さな黄色っぽい部分があります。薄い茶色の部分は「ぬか層」白い部分は「胚乳(はいにゅう)」黄色っぽい部分は「胚芽(はいが)」と呼ばれています。 白米は、玄米からぬか層と胚芽をすべて取り除いたものです。つまり、玄米にはぬか層と胚芽がそのまま残っており、そこに含まれる豊富な栄養素が保たれていることが大きな特徴です。
こちらの記事では、発芽玄米の効果について解説しています。 玄米との違いやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
玄米と白米の違い
玄米と白米は、同じお米でありながら、その状態や栄養、そして味や食感に大きな違いがあります。それぞれの特徴を知り、ライフスタイルに合ったお米を選びましょう。
米の状態
玄米と白米の最も大きな違いは、精米の度合いです。 収穫したばかりのお米は、普段食べている白米の状態になるまでにいくつかの層を持っています。外側から順に、籾殻(籾)、ぬか層(果皮・種皮・糊粉層)、胚芽、そして胚乳という構造です。 玄米は、稲の籾から籾殻だけを取り除いた、いわばお米の原型です。ぬか層と胚芽、胚乳が残っています。ぬか層や胚芽は、お米が発芽するための大切な部分であり、さまざまな栄養素を蓄えています。 対して白米は、玄米からぬか層と胚芽を完全に削り取り、内側の白い胚乳だけにしたものです。普段目にする真っ白なご飯は、この白米を炊いたものです。精米し、ぬか層と胚芽を削り取ることで見た目が美しく食べやすくなる一方で、大切な栄養素の一部が失われます。 こちらの記事では、古代米について解説しています。 種類や白米との違いも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
栄養素
玄米と白米は精米の度合いが異なるため、含まれる栄養素にも大きな差があります。 玄米にはぬか層と胚芽が残っているため、白米に比べて食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、そしてマグネシウムやカリウムといったミネラルが豊富に含まれています。これらの栄養素は、体の調子を整えたり、エネルギー代謝をサポートしたりする重要な働きを担っています。 さらに、ストレスの緩和に役立つとされる「GABA(ギャバ)」も多く含まれている点が特徴です。
味や食感
玄米と白米は見た目や栄養素だけでなく、炊き上がりの味や食感にも違いがあります。 玄米はぬか層に覆われているため、プチプチとした歯ごたえがあり、噛むほどに香ばしさやほんのりとした甘みが広がります。ただし、独特の風味や少し硬めの食感があるため、初めて食べる方や柔らかいごはんを好む方には、食べにくく感じられることもあります。 一方の白米は、ぬか層が取り除かれているため、ふっくらとしたやわらかさと程よい粘り気があり、クセのないあっさりとした味わいが特徴です。口当たりもよく、幅広い年代の方に親しまれています。 玄米をもっと手軽に取り入れたい方には「発芽玄米もち」がおすすめです。
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玄米に含まれている栄養素
精米の過程で失われてしまうぬか層と胚芽には、多くの栄養素が凝縮されています。以下では、玄米にとくに豊富に含まれる主要な栄養素とその効能について解説します。
ビタミン群
玄米には豊富なビタミン群が含まれており、とくに注目すべきはビタミンB群です。 ビタミンB群は、エネルギー代謝に深く関わっている栄養素です。たとえば、ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換する際に重要な役割を果たし、疲労回復や神経機能の維持に欠かせません。また、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助け、免疫機能の正常化やホルモンバランスの調整にも影響を与えます。 100gあたりを比較すると、ビタミンB1は白米が0.02mgであるのに対し、玄米は0.16mgと約8倍も多く含んでいます。ビタミンB6は白米が0.02mgであるのに対し、玄米は0.21mgと10倍以上も多く含んでいます。
ミネラル
ミネラルは、骨や歯の形成、体液のバランス調整、神経伝達など、体内のさまざまな生理機能に欠かせない栄養素です。 とくに注目すべきは、マグネシウムです。マグネシウムは300種類以上もの酵素反応に関わる必須ミネラルで、骨や歯の健康だけでなく、神経や筋肉の機能を正常に保ち精神的な安定にも寄与します。 また、体内の余分な塩分を排出し、むくみ解消や高血圧予防に役立つカリウムも効率よく摂取できます。 100gあたりを比較すると、マグネシウムは白米が7mgであるのに対し、玄米は49mgと約7倍も多く含んでいます。カリウムは白米が29mgであるのに対し、玄米は95mgと3倍以上多く含んでいます。
食物繊維
玄米が持つ健康効果のなかでも、とくに注目されているのが豊富な食物繊維です。 食物繊維は、腸内環境を整え、善玉菌を増やすことで便秘解消に大きく貢献します。また、血糖値の急激な上昇を抑える効果(低GI)や、有害物質を体外に排出するデトックス作用も期待できるため、糖尿病予防やダイエットにも有効です。 玄米には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方がバランスよく含まれています。100gあたりを比較すると、白米が0.3gであるのに対し、玄米は1.4gと4倍以上含まれています。
フィチン酸
フィチン酸は、強力なキレート作用を持っています。金属イオンと結合しやすい性質のことで、この特性が体にさまざまなよい影響をもたらします。 まず注目したいのは、抗酸化作用です。抗酸化作用は、体のサビつきを防ぎ、細胞の老化や病気の原因となる活性酸素の働きを抑えるため、若々しさを保つサポートをします。また、抗がん作用も期待されています。 さらに、食後の血糖値の急激な上昇を緩やかにする働きや、血中のコレステロール・中性脂肪の増加を防ぎ、体外への排出を促進する効果も期待されています。そのため、糖尿病の予防・管理や生活習慣病のリスク軽減にも役立つでしょう。
GABA
玄米には、GABAというアミノ酸の一種も含まれています。GABAは「Gamma-Amino Butyric Acid」の略で、γ-アミノ酪酸とも呼ばれます。 GABAは、気持ちを落ち着かせたり、リラックスを促したりする作用があるとされ、ストレスの緩和や質のよい睡眠にも役立つといわれています。さらに、高めの血圧を安定させる働きや、集中力のサポートにも効果が期待されています。
玄米を食べる際の注意点
栄養豊富な玄米ですが、おいしく安全に食べるためにはいくつか知っておきたい注意点があります。これらのポイントを押さえて、玄米生活をより快適なものにしましょう。
消化に時間がかかる
玄米は、精米時に削り取られる硬いぬか層に覆われているため、白米に比べて消化に時間がかかります。人によってはお腹が張ったり、消化不良を起こしたりすることがあります。 そのため、玄米はよく噛んで食べましょう。一口30回を目安によく噛んで食べることで、消化酵素の分泌が促進され、消化吸収がよくなります。 また、玄米を炊く前に6時間〜半日、できれば一晩程度水に浸しておくことで、玄米が水を吸って柔らかくなり、消化しやすくなります。長い浸漬時間は、玄米特有の硬い食感が苦手という方にもおすすめです。
アレルギーのリスクがある
ごく稀ですが、玄米に含まれる成分に対してアレルギー反応を示す人がいます。とくに小麦や大豆、ほかの穀物にアレルギーを持つ方は注意が必要です。 主な症状としては、皮膚のかゆみや蕁麻疹、腹痛などが挙げられます。アレルギー体質の方や初めて玄米を食べる方は、ごく少量から試して様子を見ることをおすすめします。
湿気や酸化に弱い
玄米のぬか層や胚芽には脂質が含まれているため、白米に比べて酸化しやすい性質を持ちます。酸化が進むと、油っぽい匂いがしたり、味が落ちたりします。また、湿気に弱く、高温多湿な場所で保存しているとカビが生えたり、虫が発生したりするリスクが高まるため、注意が必要です。 保存は直射日光が当たらない涼しくて暗い場所で保管しましょう。湿気や空気に触れないよう蓋がしっかり閉まる密閉容器やジップロックに入れておきます。大量に買い置きせず、なるべく新鮮なうちに食べきることをおすすめします。
玄米の炊き方
家庭の炊飯器でもポイントを押さえれば、ふっくらとおいしい玄米を炊き上げられます。初めての方でも失敗しない炊き方を解説します。
計量
玄米を計量する際は、白米と同様に「お米用の計量カップ(180ml)」を使用しましょう。カップに玄米を山盛りに入れたら、菜箸などで表面を平らにしてすり切ると、正確な1合を量ることができます。 なお、料理用の計量カップ(200ml)とは容量が異なるため、間違えて使わないよう注意が必要です。正確な分量で炊くことが、おいしく仕上げるコツです。
研ぐ
玄米は、白米のようにゴシゴシと研ぐ必要はありません。力を入れすぎると栄養の詰まったぬか層が剥がれてしまう可能性があります。 そこで、まずはボウルに玄米とたっぷりの水を入れ、軽くかき混ぜて浮いてくるゴミやほこりを取り除きます。水を替えて、優しく手のひらでなでるようにして2〜3回洗いましょう。このとき水が少し濁っていても問題ありません。そして、ザルにあげ、水気を切ります。
浸漬
浸漬は、玄米をおいしく炊くための重要なポイントです。玄米はぬか層が硬いため、白米より十分に水を吸わせる時間が必要です。 洗った玄米を炊飯器の内釜に入れ、表示のメモリまで水を加えます。一般的な目安は、玄米の容量の1.5〜2倍程度で、炊飯器に玄米の目盛りがあれば、それに従います。よりモチモチにしたい方は、水を少し多めにいれてください。 ただし、入れすぎるとベチャベチャした炊き上がりになってしまうため注意が必要です。 そして、そのまま最低でも6時間、できれば半日〜一晩(12時間)程度水に浸します。夏場など室温が高いときは、水の傷みを防ぐため冷蔵庫で浸漬しましょう。長い浸漬時間によって、玄米は十分に水を吸いふっくらと柔らかく炊き上がります。
炊飯
十分な浸漬時間を確保したら、いよいよ炊飯します。 炊飯器に玄米モードがあれば、それを選択してスタートします。玄米モードは、玄米をおいしく炊くため火加減や時間を自動で調整してくれるものです。 炊飯器に玄米モードがない場合は、通常の炊飯モードで炊きます。この場合、炊き上がりが少し硬くなってしまうことがあるため、浸漬時間を長めに取りましょう。 そして、炊き上がったらすぐに蓋を開けず10〜15分程度蒸らします。蒸らすことで、よりふっくらとした仕上がりになります。
玄米のおいしい食べ方
玄米のおいしい食べ方は、主に以下のものが挙げられます。 無農薬の玄米を選ぶ 白米と混ぜて炊く 具材を加えてアレンジする 玄米は、ぬか層や胚芽に農薬が残りやすいといわれているため、より安心で、お米本来の風味豊かなおいしさを味わうなら、化学肥料や農薬を使わずに育てられた無農薬の玄米を選びましょう。 また、玄米に初めてチャレンジされる方や食べにくさを感じる方は、白米と混ぜて炊いてみてください。それぞれの食感の違いが楽しめます。最初は米8:玄米2くらいの割合から試し、慣れてきたら徐々に玄米の割合を増やしていくと無理なく移行できるでしょう。 さらに、玄米の少し乾燥した食感はチャーハンやパエリアなどの炒めご飯によく合います。白米だとベチャつきやすい料理でも、玄米ならパラッと仕上がりやすく、調理も成功しやすいでしょう。
まとめ
玄米は、日々の食卓に取り入れるだけで、食物繊維やビタミン、ミネラルといった現代人が不足しがちな栄養素を効率よく摂取できます。消化に時間がかかったり、保存に注意が必要だったりする点もありますが、正しい知識と工夫でおいしく健康的に続けられます。
